羽毛は生きる資源だ

奈良の二上山に登った帰り道。

人口の池に、カモに混じって見慣れない鳥が2羽、しきりにグルーミングをしていました。

大きな体で、羽を広げると優に1メートルはあり、喉には袋のようなものがついています。

背中を覆う舞茸の様な羽の下には、とっても柔らかそうな毛が見え隠れしています。

 

帰って調べました。ガチョウの仲間だと思います。

グースです。つまり、あの羽で羽毛布団が作れるのです。

ちょっと興奮しました。

でもその直後思いました。何羽分だ??? と。

 

昔、私が学生の頃、アメリカからの留学生と交流したことがありました。

彼らは、私の友人が首に巻いていた毛皮を見て、『何匹殺した?』と聞いたのです。

その時の記憶が、一瞬で甦りました。なぜかしら。

 

ふとん作りに使っている羽毛は、食肉や卵目的で養殖した鳥から採った、副産物です。

羽毛を採るために、殺生をしている訳ではありません。

しかし、中でも高級羽毛ふとんに用いられる羽毛の採取には、むごい方法がとられてきました。

動物愛護の観点から、現在ヨーロッパでは禁止されている程です。

その点については本当によかったと、ふとん店としても一個人としても、思います。

そして、そんな風にして作られた羽毛布団を使うにあたり、扱いを粗末にしてはならない、と思います。

汚れたから・・・ニオウから・・・と、すぐ買替えるのではなく、【再生させる】を選択肢のひとつに。

使い捨て、の概念を、少しずつでも小さくしていきたい、と思います。

 

一羽のグースから採取できる羽毛の量は、わずか10~20㌘。(高級羽毛布団には、主に胸の部分のダウンが使われます)

ということは、1.0㎏の冬用羽毛布団を作るのに、100羽分の鳥のダウンが使われていることになります。

大事に、使えるところまで使う、それが礼儀かなぁ、と思います。